C'est la vie!
レディーはまた立ち去るかと思いきや、彼女は私の肩に腕を乗せて背後から擦り寄ってきた。
「ねぇ、ミスタークロウ。あなた黙ってたのね、あなたの想い人がアスミと同じ名前だってこと。
偶然―――じゃないわよね、ミスタークロウ。彼女何者なの?」
探るように聞いてきたレディに私は笑いかけ、
「偶然だよ」
彼女を見上げた。
かっこつけてみたけど
だら……だらだらだら…
私の額から滝のような汗が流れ落ちた。
「幽霊でも汗って出るのね」
レディが呆れたように目を細め、
「ゴーストと言ってくれたまえ」と私は言い直した。ちなみに、ゆ……ゴーストに汗なんて出ない。ただ雰囲気だけ。
くすっ
レディは甘く笑い、私の額に手を当てると、
「あなたの家系のメンズは困ったちゃんばかりね。素直じゃないんだから」
と言って私から離れる。セラヴィの香りがふわりと漂い、私は思わず苦笑い。
「本当に。
レイは私が心臓を隠しても怒らなかったのに、アスミのことになると―――…今風に言うとなんて言うんだい?」
「キレる」
「そう、それ。キレたからね。あれじゃアスミが好きだと言ってるようなものだよね?」
私が楽しそうに笑うと、
「荒療治ね」とレディもうっすらと笑った。
「そうだよ。そうでもしないと―――二人はこの場所に一生留まったままだ。
さぁどうするレイ、
そしてアスミ」