C'est la vie!


思わず怖くなって顔を青くすると、


「ほら、調べるんでしょう?行こう」


零くんがあたしを安心させるためか、にっこり微笑んであたしの手を握る。


ふいうちに握られて、またもドキっ。


零くん―――……


「零くんは全然平気そうだね。どっちかって言うと零くんの方がこうゆうのダメそうなのに」


そう言えばここに来てからいつも零くんは冷静だった。


怖がったり、寂しがったりしているあたしをいつも引っ張っていって元気付けてくれた。


「こうゆうのダメそうって、俺って怖がりな感じ??」


「…ううん、そうゆうんじゃなくて」


何て言うか儚げなイメージがあったし…


とは言えない。


男の人に向かって“儚げ”とかって失礼。


でも零くんは全然儚げって感じじゃなくて、ちょっと…いや、かなり不思議くんだし、マイペースだし、でもその反面思った以上に優しくて、


あたし、零くんとこんな風にならなかったら、


きっと零くんのこと分からないままだった。


窓辺に立つ零くんを眺めるのが精一杯。


だから―――怖がりなくせに、このお屋敷に(お願いをしに)来て、



良かった。




零くんのことを知れて



良かった。








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