C'est la vie!



ドキンとして思わず歩みを止めると、


「ん?どうした?」


と零くんも足を止めて僅かに振り返る。


その顔はいつもと変わらなくて、零くんが特に他意を含ませて言ったんじゃないってことに気付いた。


何だ、やっぱわんちゃんのモップか。


ってか、あたしじゃないって。


ちょっと残念に思いながらもあたしは、


「あたしはね~、高校受験合格したら我慢してたこといっぱいやりたい」


と話題を変えた。


「我慢してたこと?」


「うん、漫画たくさん読むことでしょー。流行のドラマも見まくって、行きたかったところにも出かけてー」


それからそれから






零くんとこうやって手を繋いで、笑いあいたい。





体温の感じられない冷たい手じゃなくて、


ちゃんとその体には血が通い、体温があることを実感しながら―――




「あたし



必ず生き返って、絶対全部叶えるんだ。



こんなところで人生を終わらせたくない」






絶対に―――






真剣な顔で零くんを見上げると、零くんはほんの少し笑った。







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