C'est la vie!


「ちょ、ちょっと!結城さん!」


零くんが腕を引かれて慌ててあとをついてくる。


「零くん、ほら見てっ!あそこに白い光が!お母さんや友達の声もするの!


やっぱりブリトニーさんはここから出入りしてたんだよ!」


零くんの方を振り返り、喜んで洞穴の奥を指差すと、


零くんは突如立ち止まった。






あたしも思わず、歩みを止める。


零くんの方を再び振り返ると、零くんは少しだけ悲しそうな寂しそうな表情でうっすらと笑った。


その複雑な笑顔は―――


あたしが知ってる零くんのどんな笑顔よりも―――悲しそうだった。


「どうしたの?零くん、行こうよ」


思わず手を引っ張ると、零くんはその手をやんわりと引き剥がした。





「結城さん、一人で行きなよ」





まさかそんなことを言われるとは思ってなかったから、あたしは思わず


「え?」


と聞き返しちゃった。


「行きなって。お母さんたちが呼んでるんだろ?」


零くんは寂しそうな顔でまた笑う。


そんな、そんな悲しそうな顔で―――





何で笑うの―――……








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