C'est la vie!



零くんに怒鳴られたのが初めてで、怖いとか悲しいとかよりも、ただ驚きにあたしは身動き取れなかった。




「早く行け。


君を待ってる人が居る」




零くんは洞穴の奥の方を睨むと、やっぱり怖い口調で言ってあたしの背中を押した。


「……何で、あたし一人なの?…零くんも一緒に…」


零くんを振り返ると、零くんはさっきの厳しい表情を緩めて、無理やりといった感じで笑った。


「俺は行けない」


「……何で?」








「俺にはその声も、光も―――




聞こえないし、見えないんだ」








< 144 / 194 >

この作品をシェア

pagetop