C'est la vie!



「結城さん…」


泣き続けるあたしに、零くんは困りきったようにおろおろ。


「ごめん、さっきは怒鳴ったりして」


宥めるようにあたしの周りをうろうろ。


それでもあたしの涙は止まらなかった。


怒鳴られたのが怖かったんじゃない。


零くんと一緒に戻れなかったことが―――悲しかったんだ…


「ぅー…」


と唸り声を上げて、手の甲で目を擦っていると、


ふわっ


零くんがあたしを抱き寄せて、その胸に抱いてくれる。


「ごめん……



ごめんね」



不器用に「ごめん」を連呼する零くん。


零くんの体には体温なんてないのに、血が通ってるわけないのに、


その体はやっぱり温かかった。


今気付いた。


この温度は―――零くんの体じゃなくて、





零くんの優しさの温度なんだ―――




あたしは大好きな男の子に、はじめて抱きしめられて


嬉しいはずなのに



何だかとても悲しかった。





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