C'est la vie!


喧嘩?って言うのかなこれは…


零くんは「ごめん」て謝ってたけど、許す許さないって問題じゃないし、


そもそもどっちが悪いって問題でもない。


キマヅイ空気だけが取り巻いていて、それでも零くんはあたしの傍を離れようとしない。


クロウさんのことを警戒してるように思えた。


頭の下で手を組んだ零くんはぼんやりと天井を見つめている。


その横顔に向かってあたしはおずおずと声を掛けた。


「…ねぇ、零くん。また戻る方法…考えよう…」


零くんは少しの間黙っていたけど、


「―――…うん、そうだね」


と、小さく答えてくれただけだった。



考えようって言ったけど、あの方法しかない気がする。


それに光と音が聞こえなくなったってことは、もうその方法も使えないってことだよね……





あたしは今度こそ本当に―――生き返るすべをなくしてしまったんだ。





でも



後悔はしてない。



零くんを置いていっちゃったら、あたしは生きてる間、ずっとその事実を忘れられない。




―――これで良かったんだ……








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