C'est la vie!



へ!?だってクロウさんはここに…


ちらりとクロウさんを見ると、いつものキマッたタキシード姿で、いつもの余裕顔でにっこりと笑いかけてきた。


クロウさんが二人!?


「もうホラーとしかいいようがないよね。ある意味一番怖くない?クロウさんが二人って」


と零くんが耳打ちしてくる。


零くん……あなたは何でそんなに冷静なんですか??


でも…


あの軍服のクロウさんは帽子も被ってるってのもあるし、ちょっと雰囲気が違う…


「ヘンリー。良くご無事で…」


女の人は涙を押さえながらクロウさんを見上げる。


ヘンリー……やっぱり―――



クロウさんは、ヘンリーさん…。ヘンリー・クロウさん。


「あの光景は1905年の10月の話だ」


クロウさんが教えてくれて、あたしは目をぱちぱち。


1905年??ん?


思わず首を捻ると、


「終戦直後だ。日露戦争は確か1905年の9月5日に終戦している」


零くんがいつになく真剣な顔でクロウさんを見上げる。


零くん!さっすが!いつもぼ~としてるのに、頭いい♪


「あれ??でもユウキさんが亡くなったのはいつ??日記には終戦のこと書かれてなかったよね。


だからあたしたちユウキさんが亡くなったのが、戦争中だって思い込んでたケド」


あたしも首を捻っていると、


「アスミが亡くなったのは、戦争中のことだよ。1905年の1月。流行り病だった


私の元に報せが届いたのは、その一ヵ月後だったけれどね」


1905年の1月―――…その一ヵ月後でも2月……




「あれ??クロ…ヘンリーさんて自殺したんじゃ……なんで生きてるの?」




まさか本当の幽霊!!



思わず叫びだしそうになっていると、








「誰が自殺したと言った?」









クロウさんが眉をしかめて、あたしたちはそろって目をぱちぱち。





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