C'est la vie!




「え…だって…


“It is impossible that I make a living in the world in which she is not present.
(彼女のいない世界で生きていくのは――――無理だ)


Good bye.”
(さよなら)


って書いてあったよ!」



思わずクロウさん見上げると、クロウさんは目を細めてあたしたちを睨んできた。


ビクゥ


その迫力に思わず後ずさってしまったけれど、


「やっぱり君たちは私の日記を読んだのだね。しかもそんなにはっきりと…」


クロウさんはガクリと肩を落とし、


「あぁ…なんて恥ずかしい……生き恥だ…」


すぐに両手で顔を覆ってさめざめと泣きまね(?)をした。


「生き恥って、もう死んでるじゃん」と零くんがまたも冷静な突っ込み。


零くん!そんなはっきりと!


「む。レイ。君は私の日記を読んだことをあっさりと認めるんだね」


「認めるもなにも、俺クロウさんの日記だと言ってはいませんよ。クロウさんが知らんぷりしてたらそれで終わったじゃないですか」


「ム!こましゃくれたクソガキめ!!」


こ…こましゃくれた!?いつの言葉よ!


クロウさんが今度はプリプリと怒り出し、あたしがその間に割って入った。


「ちょっと待って!ってことは、クロウさんは自殺したんじゃなくて……」


「あまりにも辛くて日記を書くことに意味を抱けなかったんだ。だから日記にさよならしたんだよ。私は自殺じゃなくて、病死だ」


日記を書くことをさよなら。…病気……


「紛らわしいこと書かないでよ!」思わずあたしが勢い込むと、


「私が自分の日記に何を書こうが勝手じゃないか」とまたもクロウさんがムっと顔をしかめる。


ま、まぁそりゃ…そーだけど。


「ち…ちなみに何歳まで生きたんですか??」


興味本位でちょっと聞いてみると、


「27歳までだ。戦争では無事帰還したが病を患ってしまってね……」


クロウさんは顔に翳りを浮かべて僅かにうつむいた。


「頭の病気?」


零くんが呆れたように言って、


「失礼な!くも膜下出欠だ」


「脳の病気じゃん」とまたも零くんがそっけなく言う。


零くん……さっきから棘とげだな…


まだクロウさんを警戒してるとみえる。


って、今はそんなこと言ってる場合じゃない!





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