C'est la vie!






こげ茶の重圧的な扉が両開きに開くと、その向こう側は光輝いていた。




あの先が―――あたしたちが帰るべき場所。





「零くん―――



行こう」





あたしは零くんの手をぎゅっと握って、立ち上がった。


零くんも今度は止まったりはせずに、小さく頷いて立ち上がる。


タキシード姿のゆ…最後まで間違えちゃったケド、ゴーストのクロウさんが扉の外を促して手を差し出す。


「さあ、生きたまえ」


促されるまま二人で扉に向かう途中、


軍服姿のクロウさん…それからその奥さんと子供たちが、手を振っていた。


『戻りなさい。あるべき場所へ』


そう言われている気がした。


そしてタキシードのクロウさんが





「生きなさい」




もう一度促すと、



「生きなさい」



すぐ近くで女の人の声が聞こえた。







黒くて長い髪の―――夢の中で見た





あの人…―――!





「ユウキさん!?」


ユウキさんは夢の中と同じワンピース姿で、あたしに優しく微笑みかけると


「もう戻ってきちゃだめよ」そう言ってゆるやかに手を振っていた。


「ユウ……」ううん!


あれはあたしの―――……








「おばあちゃん!」









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