C'est la vie!
―――
一週間後。
あたしたちは集中治療室から一般病棟に移動になった。
男女分けられるかと思ったけれど、何故だか一緒の部屋になれたし♪
―――階段から落ちて眠っていた期間は三日ほどだった。
もっとずっと長い時間が経っているかと思ったからちょっとびっくり。
―――あのお屋敷と、この世で
流れている時間が違うことに気付いた。
改めて思う。
あのお屋敷は一体―――……
体の方は順調に回復してきている。
担当の先生はクロウさんよりちょっと年上の若い男の先生で、
「二人とも正直もうダメかと思いました。手の施しようがなかったのに、持ち直したのはまさに奇跡としか言い様がありませんね」
と首を捻りながら笑っていた。
「医者としては信じられないですが、“奇跡”ってあるんだね。
君たちが惹かれ合う奇跡って言うのかな」
とイタズラっぽく笑われてあたしは顔が熱くなるのが分かった。
「まぁ、急に引き剥がしてまた具合悪くなったら困るので、しばらく同室で様子見ましょう」
はぁ、そう言う理由ね…
「ラッキーだな。同室になったのが君みたいな可愛い子で♪」
零くんは爽やかに笑ってあたしの方を見る。
このあとに続く台詞は言わなくても分かってるわよ。
「同室になったのがむっさい男だったらやだもんな~」
ああ、零くん生きてても死んでても(?)変わらず……
「ちょっと、ちょっとアスミ!いつの間にあんな爽やかイケメンと知り合ったのよ!」
とお見舞いに来たサヤカとアヤメがあたしに聞いてきて、
まさか
「あの世?って言うか三途の川みたいなところで親しくなりました」
なんて言えない…
一方の零くんは…
「お兄ちゃん!もぉ!心配かけて!!こんなに心配してたのにお兄ちゃんてば、
彼女といちゃついてたっての!?ってかいつの間に仲良くなったのよ」
と、妹さんに問い詰められて、
“彼女”!と言うところに思わずドキっ。
いちゃついては…いません。
「あの世。って言うか三途の川みたいなところで知り合ったんだ。川の渡り賃に彼女を引き連れていこうとした悪っるいヤツがいてね~」
と零くんが説明していて、
「はぁ!?何言ってんの!相変わらずわけわかんない!」と怒られている。
………
零くん…変わらず炸裂だな。
そして相変わらずクロウさんのこと嫌ってる(?)んだな…とあたしは視線を泳がせた。
それ、全部ホントウのことデス。