C'est la vie!


彼が何故そのお屋敷に居るのか分からなかった。


お屋敷は柵の一部が壊れていて、敷地内に入ることはできるらしいけど、いかにも重そうなお屋敷の扉には鍵が掛かっていて、中に入ることができないらしい。


肝試しに行ったって言うクラスの子がそう言っていた。


じゃあ彼はどうしてあの場所に居るのだろう。


まさかと思うけど………お化け??


う゛~~ん…そんな風には思えないんだけどな。


いかにも儚げで浮世離れしている感はあるけど、だって物憂げな表情とか―――なんかリアルな気がする。


それに、あたしにはまったくと言っていいほど霊感はないし、幽霊とかゾンビとかの話は聞くだけで耳を塞ぎたくなる程怖がりだ。



だけど彼を見てもちっとも怖くなんかない。






―――入試をあと一ヶ月に控えた冬のある日。



「ねぇねぇ!街のお化け屋敷行こうよ!願いが叶うんでしょ?願掛けに」


と、幼馴染で親友のサヤカが言い出した。


「行く!」


あたしはサヤカの手を握って勢い込むと、その隣からアヤメが疑り深い目でじとっとあたしを見てきた。



砂糖みたいにふわふわして可愛いサヤカとは対照的に、スパイシーな美人タイプのアヤメ。


あたしたち三人は幼稚園からの幼馴染で親友。


「明日未って超が付くほど怖がりじゃない。どうゆう風の吹き回し?」


「えっと……」


好きな人と喋れるチャンスかも!なんて言えない…



あたしは受験生だし。


入試を目前に控えているのに、恋愛にかまけてなんかいられない。






だけどもう少し近くで見られたら、受験もがんばれるもん!










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