C'est la vie!
西洋風のお屋敷の、敷地の周りはアイアンで象ったお洒落な柵がぐるりと囲んでいた。
でも黒い鉄のほとんどが雨で錆び付いてる。
手入れをしていない庭木の草や蔦が柵に絡まって、見るからに「出そう」な雰囲気。
遠目からお屋敷を見ると、壁は土色のレンガで造りで、可愛いらしい出窓がいくつも飛び出ている。
でも窓のほとんどがヒビが入ったり、蜘蛛の巣が張ってたり、割れていたりする。
「おもしろそう♪いかにも出そうって感じじゃない?」と最初は渋っていたアヤメがわくわくと顔を輝かせる。
あたしは…と言うと…
ほ、ホントにこんなところにあの彼が居るのかなぁ
その考え自体疑わしくなっちゃって、足ががくがくと震えた。
アヤメが言った通り、あたしは超!が付くほど怖がりだから。
二人はあたしの恐怖をよそに、柵の一部が壊れているところを見つけてするりと入り込んだ。
「ちょ、ちょっと待って」
こんなところで一人置いていかないでよ~(泣)
庭は、思った通り草が生え放題。西洋風の椅子やテーブルも長い間雨風にさらされ朽ちていたし、ついでに言うと時期も悪い。
山へ行けばそれはきれいな赤や黄色で身を飾る木々も、ただの薄汚れた茶色にしか見えなくて、
それが一層この屋敷を陰気に…恐ろしく見せていた。
震える足を何とか奮い立たせ、二人の後を着いて行くと、
カタン…
頭上で小さな音がした。