C'est la vie!
★Side Crow★
★Side Crow★
「走れ、若者たちよ♪」
私は屋敷を駆け回る二人の姿を眺めて、思わず笑顔を浮かべた。
「若いっていいね~、ね?そう思わないかい??」
私のすぐ隣に居るレディー(アスミじゃないよ)に笑顔で問いかけると、レディーはうっすらと笑った。
長い髪が揺れて、白いワンピースを着た華奢な肩をさらりと滑り落ちる。
「そうね。私ももうちょっと若ければ、彼らと駆けっこができたのに」
レディーは楽しそうに笑って、頬杖をつき眼下の彼らを微笑ましく見守っている。
「君は充分に若いよ。少なくとも私なんかよりはね。そして変わらず美しい」
「あら、お上手ね♪ミスタークロウ」
レディーは小鳥のように可憐に笑って、私を見ると
「でも“あれ”を心臓と呼ぶのもね~~どうなんだろ…」
とレディーが小さく吐息をつく。
「まぁ見えなくもないけど?」
私が笑うと、レディーもつられたように小さく笑顔を浮かべた。
「あの香水が意味するもの―――
彼らがその本当の意味を知るまで、
私はまだここから離れられないわね」
レディーは穏やかに笑って、私を見た。
「もうしばらくご迷惑をお掛けするけど、よろしくね。ミスタークロウ」
「ああ、任せたまえ♪」
上機嫌に頷いて……そもそも私は女性に頼られることが好きな性分である。
彼らを然るべき場所まで導き、その意味を説くのは私の使命。
だけど、本当のところはレディーにお願いされただけではない。
「まぁ私にとっても他人事でないしね」
走り去る彼らを見下ろして、私は微笑んだ。
同じように微笑みを浮かべたレディーは、
「私の可愛い坊や」
愛おしそうに、レイを見つめていた。