C'est la vie!
「ホントだ」
零くんはまるで幽霊を見るかのように目を目いっぱい開いて、まばたきをするとセラヴィが置かれている窓枠にゆっくりと近寄った。
セラヴィは沈んで行く太陽の……光を一身に浴びてキラキラと輝いていた。
「……あった…」
ほとんど独り言のように呟いて、零くんは愛おしそうにそれを拾い上げる。
その慈愛に満ちた視線は、まるで愛しい恋人を見るかのように愛情にあふれていた。
「良かったね、零くん」
良かったね―――
ミサトさんとの想い出が見つかって。
零くんはあたしの手を握ったまま、不意打ちにあたしに笑いかけてきた。
「結城さんのお陰だ。ありがとう」
あたしはブンブン首を横に振った。
あたしは―――何もしていない。
ただ、このまま諦めちゃっていいのか、疑問に思ったから。
だから走った。
考えて、悩んで……
ひたすらに走った―――
「この心臓……て言うか香水??これ美紗都に贈ったものだった」
零くんはポツリと呟いた。でも目はあたしの方をしっかりと見つめている。
あたしに言ってるって―――ことはすぐに分かったけど、すぐに返事ができなかった。
「あの……ミサトさんは…」
ようやく言えた言葉は掠れて、空虚な廊下にむなしく響いた。