C'est la vie!


零くん―――やっぱり、寂しそうな顔……


ミサトさんは、やっぱり今でも零くんの大切な人で、その人が零くんの心の中にいる限り、


零くんは―――




成仏できない。




「Wow!見つかったか~」


ふいにどこからかクロウさんが楽しげに言って姿を現した。


やっぱりこの人は神出鬼没だ。


クロウさんの出現にもいい加減慣れた。ってのもあるけど、今は零くんの過去を垣間見て、


あたしは顔を上げられなかった。


「見つけたよ。ゲームはクロウさんの負けだね」


零くんはいつもの調子も戻って、ふわふわと笑う。


「残念。アスミとねんねしたかったのに~」とクロウさんは舌打ちして、指を鳴らす。


ねんね……って、この人どこまで本気かどこまで冗談か分からないよ。


「ホントに残念だね。モップは渡さないよ?」


零くんが笑いながらあたしをちょっと引き寄せる。


その繋いだ指先は―――さっきの温度を感じられなかった。




あたしは繋いだ指先と同じだけ冷たくて、卑怯な考えを浮かべていた。


この先零くんがミサトさんを忘れることができなかったら、


零くんは成仏することなく、






あたしの想いも零くんに伝わることなく、






あたしは零くんと永遠に一緒に居られるよね。





< 65 / 194 >

この作品をシェア

pagetop