C'est la vie!



きゅっ


あたしは零くんの制服をちょっと握った。


大丈夫。


あたしは零くんを置いて勝手に成仏したりしない。


零くんに寂しい想いをさせない。



あたしはいつも零くんの傍に居るよ―――



「ところで、どこ行ってたの?」


そう聞かれて、答えに詰まった。


えーと……何て答えればいいのだろう…


ミサトさんに会ったとは言えないし。


ってかそもそもミサトさんなのだろうか。


あの香りで勝手にミサトさんて決め付けちゃったけど。


それに、あの変なクロウさんと仲良しっぽかったし……


確かめたい…




「れ、零くん……あのね」





でも……


言えない。





「どうした?」


零くんが不思議そうに聞いてくる。


「あのね………………」


「どうしたんだよ」


零くんが焦れたようにあたしの髪をぐしゃぐしゃにまさぐる。


きゅ~ん。


ダメだよ、全部が全部内緒ってわけにはいかないし。


「……お、女の人に会った」


「女の人??この屋敷にほかに誰か居るの?」


零くんはさほど驚いた様子を見せずに、ちょっとだけ首を捻った。


「……うん。すごくきれいで…クロウさんの第二夫人で…ブリトニーって名乗ってた」


ああ…あたしって何で隠し事できないんだろう…







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