C'est la vie!
いゃぁあああ!
そんな想いでぎゅっと目を閉じて零くんにしがみつくと、
「場所的に考えて“血”の染みではないんじゃない?」
と零くんが苦笑を漏らす。
「場所?」
「うん、だってこの上バスルームだよ。それに血だったらもっと褐色になってるはず。
古いお屋敷だから、水道管とかが壊れて水漏れしてたんじゃない?」
あぁ、そっかぁ~、なら良かった。
分かりやすくため息をつくと、
「暗いからよく分かんないケド」
零くんがからかうように笑って、あたしはまたも顔色を青くした。
「うそ嘘。じょーだんだよ♪モップをからかっただけ♪」
「酷いよ!」
プリプリ怒るあたしの横で、
「でもさぁ、今は水道も通ってない廃屋なのに、昔は水もガスも―――灯りも灯ってて、
この屋敷は“生きて”たんだよね」
零くんがぽつりと漏らす。
さっきのからかうようなふざけた口調じゃなくて、その声は真剣だった。
クロウさんと一緒。
このお屋敷も“死んじゃった”んだ。
それを考えると何故だか寂しくなる。
でも屋敷が死んだ今でも、零くんはあの窓辺に立ち、
あたしはここから出られない。
まるで呪縛のように、離れることができないんだ―――