C'est la vie!




そんなことを考えていたら、いつの間にかうつらうつら…


その日は不可思議な夢を見ることもなく―――


朝まで一度も目を覚ますことなく、深い眠りについた。



日が高々に昇って、開いたカーテンから陽光が眩しいほどサンサンと降り注いだころ、


あたしはようやく目を覚ました。


まるで鉛でも詰まっているかのように重い頭を上げて、それでも夢を見なかったことを少しだけ残念に思う。


すぐ隣では長い睫を伏せて零くんが心地良さそうに眠っていた。


あたしは眠ったままの零くんを残して、そろりと部屋から抜けると


クロウさんを探した。


「やぁ♪お寝坊アスミ♪♪良く眠れたかい??」


探すまでもなく、また突然に肩を叩かれて、


ドキーン!


あたしの心臓がひっくりかえるかと思った。(心臓動いてないケドね)


「もう!いっつもいっつもびっくりさせないでください!」


あたしが怒ると、


「すまないアスミ。君の可愛い反応を考えるとつい、ね」


クロウさんは楽しそうに笑う。


人を驚かせて楽しんでるってどういう神経!


そう怒り出したかったけど、


落ち着くのよ、アスミ。クロウさんから聞き出さなきゃいけないことがあるんだから。


あたしは怒り出したいのをぐっと堪えて、クロウさんをキっと見上げた。


「クロウさん、聞きたいことがあるんですが」


「私の第二夫人のことかい?」


第二夫人……ブリトニーさんのことだ。


相変わらず勘がいい人だな。



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