C'est la vie!
それはいつもふざけて明るい―――あたしの知ってるクロウさんじゃなかった。
クロウさんは変だけど、いつも優しくていつも―――
バサバサっ
遠くで何かが羽ばたく音がした。
それは鳥のはばたきの音に似ていて、あたしはちらりと窓の外に目を向けた。
眩しいほどの陽光が目に入り、僅かに顔を逸らしてクロウさんに視線を戻すと、
クロウさんの背後で伸びた影が―――
黒い大きな鳥の形をしていた。
―――!
息を呑んでクロウさんを見上げると、クロウさんはいつものにっこり笑顔を浮かべていた。
「どうしたんだい?アスミ。まるで幽霊に会ったような顔をして」
いえ…あたしの目の前にいる人は実際幽霊じゃないですか。
と、突っ込みたいのを堪えてあたしはクロウさんから目を逸らすと、彼の脇を通り抜けた。
「聞きたいことがあったんじゃないのかい?」
「いえ…もう大丈夫です」
曖昧に返して、あたしは逃げるようにその場を立ち去った。
今までなんでこの疑問が浮かばなかったのか謎なぐらい。
『クロウさん―――あなたは一体何者なんですか?』