C'est la vie!
そんな―――……
しばらく二人して無言でそれでもあたしたちは考えた。
「ユウキさんとはヘンリーさんと別れて以来連絡が途切れていたみたい。戦争も関係してるだろうけど。だけど彼がその……」
そう言って零くんは言葉を飲み込んだ。
あたしは鼻をすすり上げた。
いつの間にか涙が頬を伝っていて、慌ててぐいと袖口で拭う。
「さっきの日記はヘンリーさんの“遺書”だよ。この人は愛する人が何らかの理由で亡くなったことを知って、
絶望的になっちゃったんだね」
「As long as you are alive,(君が生きてさえいてくれれば)」
ヘンリーさんの苦しみに満ちた最後の言葉はインクが滲んで零くんでもほとんど読むことができなかった。
それでもその言葉にこめた気持ちが、日記から手のひらに伝わってくるようで、
悲しみが流れ込んでくる。
「もし…もしもだよ?この日記のへんりーさんがクロウさんだったら…
あの人は自殺しちゃったってこと…?」
鼻を啜ってあたしは零くんを見上げた。
零くんはちょっと困ったように眉を寄せて、
「分からない。そうかもしれないけど」と言葉を濁した。
二人して日記を覗き込みながら、無言で佇んでいると、
「私の居ないところで、私の噂かい?」
ふっと頭上でクロウさんの声が聞こえた。