C'est la vie!
「「!」」
あたしたちはびっくりして二人同時で息を飲み込むと、ぱっと顔を上げた。
クロウさんは天井近くでふわふわ浮きながら、長い脚と腕を組んであたしたちを見下ろしている。
その視線は冷たいものだった。
「く、クロウさん…」
ドキリとしてあたしは思わず日記を背後に隠した。
クロウさんは面白くなさそうに目を細めて口元を引き締めると、
「私は仲間はずれかい?君たちはいったい何をこそこそしているんだい?」
と少し低い声で聞いてくる。
「仲間はずれになんてしてませんよ」
零くんが冷静に答えた。
「こそこそはしてるけど」と小声で言って、
「ちょっと、零くん!」あたしは慌てて零くんをつついた。
「人の秘密を探るのは良くないな」
あたしが聞いたことのないような低い声でクロウさんは言って、すっと手を上げた。
バサバサっ
すぐ上で何かがはばたく音が聞こえて、あたしたちは顔を上げた。
あたしたちのすぐ頭上で、
大きな羽を羽ばたかせた
カラス
が二羽―――飛び交っていた。