C'est la vie!



バサバサっ


カラスは黒くて大きな羽を羽ばたかせて、黒光りするくちばしをカっと開いている。


ぎくりとして一歩後ずさると、カラスはさらに羽をばたつかせてあたしに迫ってくる。


「な、何!!」


顔を庇うように腕を上げると、そこに狙いを定めたようにくちばしがあたしの腕をつついた。


「キャァ!」


「結城さん!」


零くんがあたしを庇うように腕を引き、カラスを追っ払うように手を払ったけど、カラスは容赦なく零くんを攻撃する。


大きな羽根と鋭いくちばしが零くんを襲い、


「ぅわっ」


と零くんが声を上げて、それでもカラスを払うように腕を振る。


零くんのもう片方の腕にあたしは抱きしめられて、まるで守るように引き寄せられる。


「零くん」


ガタガタ…


カラス攻撃に悪戦しているあたしたちの頭上でさらに音が響いた。


再び上を向いて、あたしは目を開いた。


「零くん!棚が!!」


あたしが宙を指差すと、零くんも同じように上を見上げ、その様子に息を呑んだ。


移動式の棚が誰の力も借りずに勝手に動き出している。


しかも結構な速さだ。


ポ、ポルターガイスト!?





今思い出した!そういやここって一応『お化け屋敷』だったね!






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