龍神 Sside【完】






けど、今日ですべて終わるだろう







―…「あれ、まだ居たんだ?」








ドアから顔を出したお兄さんは僕をみて優しく微笑んだ。





お兄さんの顔には赤い斑点がついていて僕はきれいだと思った。


怖さなんて、とっくに消えて無くなっていて。感情さえも凍りついた気がする






手に持っている刃物が光に反射して赤黒く光り僕の顔を映し出した。






「…っ」






どちらかといえば母さん似な顔で生まれてきた。



そんな僕たちを母さんは手放せなくて。





愛を信じないと言った母さんは、僕たちだけは愛してくれた。



でも、その愛はいずれ憎しみに変わった





俺たちを手放せないせいで父さんと結婚した母さんは暴力を受けて、すべてを僕たちのせいにした。





いつしか母さんは僕たちに暴力を振るうようになって。






僕の心はきっとそのときに壊れたんだ







母さんに裏切られた悲しみを、心が受け取ることを拒否した。

そんなもの要らないと、僕には必要ないと。跳ね返すように大きな壁のなかに潜りこんだ。



何も知らない子供のままで居たかった。母さんと笑ってたあの時のまま動かないで欲しかった









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