桜哀歌

出会い〜祐樹〜

……

…………

………………

……寒い。

背中が痛い。

視界が真っ暗だ。

って、これは俺が目をつぶってるからか。

俺は目を開けた。

空は先程までの黒とは違って、薄い青の朝焼け色。
ひゅうひゅうと俺の上を通り過ぎる冷たい風。

そして−−こちらを覗き込んでくる、男の顔。

「わあ!?」

驚いて体を起こすと、背中に鈍い痛みが走った。

「いてっ……」

「ああ、まだあんた動かない方がいいぜ。背中を強く打ってる」

男は俺の肩を支えて笑った。

「それにしてもこんなトコで居眠りか?」

「いや、居眠りじゃ……」

その時ようやく辺りを見回した俺は、目が点になった。

……どこだ? ここ。

俺が倒れていたのは神社の石段で、石段なんてなかった俺達がいた神社とは明らかに違う。

周りの景色もやけに木が多い。

そして、男の服装も奇妙だった。

何故か、妙に古風な袴姿なのだ。

そして由里が−−いない。

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