名前の無い物語
「あ、そこのお姉さーん!!」
「ちょっといいっすかー!!」
そう声を張り上げながら
町を歩いていた若い女の人たちの下に祐希と瀬那は走っていく
自分達の目的はあくまで調査の筈だ
なのに、さっきからナンパにしか見えないのは何故だろう?
「…俺達、課題の為に聞きまわってるんだよな?」
「その筈よ。」
海の問いに柚歌は冷静に答えた
帆志達の苦労が、今になって分かる
つうか、体に無理矢理教え込まれた感じ
「け、けどさ…アイツ等もアイツ等なりに一生懸命やってんだって!」
吉野が二人を庇う
とにかく、この悪い空気を変えなければあの二人は終わりだ
「お姉さんスタイル良いね!」
「これから一緒にお茶でもどう?」
「「「…。」」」三人は同時に溜め息を吐いた