名前の無い物語
「吉野…。」
焦ったように吉野は近く走って来た
「二人が本気でナンパ成功してる!!このままじゃヤバイって!!」
声を張り上げて吉野は叫ぶと
すぐに祐希達の後を追いかけて行った
「ったく…アイツ等は。」
「行こう。」
「ちょっと待った!」
走りだそうとした二人を
おばさんが止めた
「あんた等…あの少年の知り合いか?」
「あの少年?」
「吉野の、事ですか?」
よく見たらおばさんは少し震えていて
目を見開いていた
「悪いことは言わない。あの少年に関わるのは止めときな。
あれは、人としての欠陥品だ。」
「えっ?…どういうことですか!?」
欠陥品?
吉野が…?
「あの少年の心は、ズタズタに傷ついて壊れている。
今生きているのも不思議なんだよ。」