名前の無い物語
「分かってるじゃん。」と海は笑って吉野の頭を撫でた
ーーお前の心はとっくに知ってるーー
瞬間浮かんだ、帆志の言葉
俺の心は、とっくに知ってるのに
何で俺はわからないんだ?
「二人とも!作戦決行みたいよ。」
柚歌の声に海と吉野も走って皆の下に向かう
皆で、一列に並んだ
「さて、いっちょやりますか。」
ボキッ、と祐希が拳を鳴らす
喧嘩なんて久しぶり…って訳じゃないけれど
こんな本格的な喧嘩はいつ以来だ?
すんげーワクワクする!!!
高鳴る鼓動を抑えながら
祐希は鎖で閉じられていた扉を思いっきり蹴り飛ばした