名前の無い物語













慣れた階段を柚歌は掛け上がる



…私がここに帰ってきた
これが、意味する事…



一番上まで上り、大きな鐘が姿を現す
時計台の最上階
その歯車に触れている、一人の少女



彼女こそ、柚歌がここまで上ってきた目的



「…語り部。」





柚歌の声に、少女はゆっくり振り返った
金髪に、緑色の瞳
白いワンピースをまとったその少女は



柚歌と瓜二つの顔だった





「…おかえり、柚歌。」








< 187 / 595 >

この作品をシェア

pagetop