名前の無い物語
語り部じゃ、ない?
嘘…、じゃあ一体誰が…
「柚歌、君がこの世界に帰ってきた理由…分かってるよね?」
語り部の言葉に
柚歌は思考を戻した
私が、ここに帰ってきた理由
「…次に闇に飲まれるのは、私達の世界だって事でしょ?」
大いなる闇に飲まれる世界
私達が旅してきた世界は、全部そんな世界だった
「実際、私が旅立つ前からデュアンテが現れてた…。今まで安全だったのも不思議な位よ。」
「柚歌の言う通り。この世界は今危機に晒されているわ。
でも、本当ならまだ先の話だった。」
「えっ?」語り部の言葉を
柚歌は直ぐに理解出来なかった
「この世界が闇に飲まれるのは、まだまだ先だった。でも、あることが原因で、闇への道が極端に近付いたの。」
「…ある、こと?」
柚歌を襲う、嫌な予感
こんな時は…昔から勘が当たってしまうんだ
「…目覚めたんだよ。全てを引き起こした、あの人がーー」