名前の無い物語
ニコッと少女は二人に微笑みかけた
…何か、余計柚歌に似てる
「何だよ、柚歌の双子の妹とか?」
「もしかして…この子に会いに来たの?」
二人は柚歌に問いかける
けど、柚歌は俯いたまま何の反応も無かった
「柚歌?」
「…ごめん。」
ようやく出た言葉は
何故か謝罪で
「え、どうし…ーー柚歌!!」
顔を上げたかと思ったら
柚歌は吉野を押し退けて走り出した
「柚歌っ!」
「オイ!!」
二人の声に振り返らずに
柚歌は走っていく
追いかけるとか、そんな事をする暇もなく
すぐに柚歌の姿は見えなくなった
「ちょ…。」
「どうしたんだよ、アイツ…。」
「…やっぱりね。」