名前の無い物語
+失った日々
巨大な豪華な建物
丈夫な門の両脇には、武装した兵士
その目の前に、柚歌は立っていた
…また、ここに来る日がくるなんて思わなかったな
ううん、私は最初から分かっていた
いつかこんな日か来ることを、きっと…
「…空。」
ここに来れば、いつも思い出す
もし君に、あの力か宿らなければ…今ごろどうなっていたんだろう?
「…今さら、遅いか。」
今さらこんなこと思ったって
空は戻って来ないんだから
「私が、今度こそ全てを終わらせる…。」
覚悟を決めて
柚歌は門に向かって歩き出す
「止まれ。」