名前の無い物語
銃器を携えた、普通の高校生
それだけではかなり怪しい人物だけど
コイツの瞳は…ただ柚歌を救いたい気持ちが映っている
二人にはそれが簡単に分かった
「一緒に、あのバカの目を醒まさせに行こうぜ。」
「何より、土地勘ある奴と一緒なら心強い。」
海と吉野の言葉に
寧々音はニコリと笑った
「役者も揃ったし、柚歌んとこ行くか。」
「もう帝国軍ボスのとこに辿り着いてるだろうな。」
吉野の読みは恐らく当たっている
柚歌はきっと、真っ直ぐソイツの下に向かった筈だから
「てか、道ってこっちで合ってるのか?」
「ここが中間地点だね。あと少しで、彼の下に着くよ。」
寧々音の言葉に、二人は心なし安堵の息を吐いた
良かった…この道で合ってたんだ
「…それより、何で今兵士が現れてこないんだ?」