名前の無い物語
こんなに喋っているのに
新しい兵士はどこからも現れない
さっきまでは、あんなにウジャウジャきていたのに…
「…多分、諸星君が兵士の相手をしてくれてる。そのおかげだね、」
諸星?
二人は首を傾げたが、恐らく生徒会のメンバーなのだろう
「諸星君が舞台を作り、私が実行犯として乗り込み、全ての指揮権は会長が持つ…。それが生徒会の仕組みだから。」
…何か、やっぱりただの高校の生徒会じゃねぇよな?
長老会のメンバーだっていうし…本当コイツら何者だよ?
「じゃあ兵士の数は減ってんのか。この期を逃すわけにはいかねぇな。」
「この道を真っ直ぐ。それが…一番の最短距離。」
寧々音の言葉に頷いて
三人は、前も向いて走り出した
寧々音は、走りながら二人の背中を追う
…運命のスプーンに導かれた、選ばれし者達
「…いい人達だね、柚歌ちゃん。」
寧々音の嬉しそうな呟きは
静かに消えていった