名前の無い物語
バタリ、と側で兵士が倒れていく
柚歌の回りには、多くの兵士が横たわっていた
そんな彼らに目もくれず、柚歌の視線は目の前の豪華な扉に向かう
「…ここか。」
この扉の向こうに
あの人がいる
柚歌は一度目を瞑って
思い出す、あの日の記憶
そして…『彼』の最後の笑顔
「空…。」
君が、存在を懸けて救ってくれた世界
滅ぼうとする世界に…未来を与えてくれた
君が残してくれた未来を、私は精一杯護るから
だから…私に勇気を分けて?
柚歌は意を決して、扉を開いた
「…久しぶりだな。」