名前の無い物語
「何?」柚歌は首を傾げた
勘違い…?
「君は全てを私のせいにしているみたいだが…彼に真実を伝え、あの能力を受け継いだ者の使命を教えたのは君だろう、柚歌?」
「!!」柚歌は肩をビクッと震わせた
その光景を見て、駿河は微かにニヤリと笑う
「そ、れは…。」
「嘘だとでも?」
駿河の言葉に柚歌は何も返さなかった
ううん、返せなかった
確かに最初に空を巻き込んだのは
紛れもなく…私だ
「彼は君に使命を告げられ、それを果たそうとした果てに救済の道に歩んだ。
その結果…彼は世界を救った、違うか?」
ーーこの世界を終わらせることーー
それが、空に与えられた使命
それを与えたのは…私?
「…だけど…だけど…。」
思い出されていく
心のどこかにしまいこんだ、罪悪感
空の未来を奪ってしまった
私の消えない罪
私の…闇
「!!」