名前の無い物語

光の中まで、あと一歩
そこで、柚歌は足を止めた


「吉野…!?」


振り返った先には
ゆっくりと着地してくる、吉野の姿


「何で…吉野が…?」


「柚歌、それ以上行っちゃダメだ!!」



「えっ?」吉野の言葉に
柚歌は首を傾げた


「それ以上行ったら…闇に飲み込まれる!もう帰って来れなくなる!!」



必死に柚歌に叫ぶ吉野
その言葉に、一度柚歌は俯いて


「ごめん。」静かにそう告げた




「ごめん…吉野…。」



「…何で、何で謝るんだよ…?」


吉野に嫌な予感が過る



柚歌が謝っている
その意味…




「…お願い。私を行かせて。」







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