名前の無い物語
「何?」吉野の言葉に
柚歌の肩は一度震えた
「空さんは、世界を救うために存在を犠牲にした。それは、柚歌のそんな顔を望んでした訳じゃねぇと思う。」
いきなり巻き込まれて
それでも尚、世界を救いたいと思った空さんが望んだもの
「みんなに…柚歌に笑って欲しかったんじゃないのか?」
柚歌も好きだといった、みんなが笑って過ごしている日々
あの笑顔を失いたくなかったから
だから、空さんは…
「…祐希にも、同じことを言われた。」
「え?」吉野は首を傾げた
「祐希にも、空に償う方法は、笑って過ごす事だって言われた。私もそうだと思ったわ。
けど…。」
柚歌の瞳に表れていく
悲しいくらいの…憎悪
「この世界に戻ってきて、駿河が目覚めたって聞いて…私は自分を止められなくなった。アイツを倒さないと、本当の意味で二年前の戦いは終わらない。
そう思って、私はここに来た。
でも、違った…空を巻き込んだ元凶は駿河じゃない。私なの。」