名前の無い物語
柚歌の言葉
吉野はすぐに理解出来なかった
「あの日…。時計台の鐘が、始まりを告げた日…、空に世界を壊してと言ったのは私だから。」
拓が創ったこの偽りの世界を滅ぼせと
私と語り部は空に告げた
「そこから始まったの…。帝国軍との戦いも、空の未来も。」
私が、空にあの能力を持つ者の使命を告げたあの瞬間から
「全部私が悪いの!空の未来を奪ったのは私…。なのに、私だけ幸せに生きるなんてやっぱり出来ない!!」
闇に堕ちるなら、それでも構わない
いっそのこと堕ちて、私の存在も消えればいい
そうすれば、空に会えるかもしれない
「…。」柚歌の叫びに
吉野は何も言わず俯いた
「1つだけ、聞いてもいいか?」
ゆっくりと顔を上げた
その瞳に写る…強い想い
「俺達が初めて会ったあの時…世界を救えって言われたとき、柚歌はどう思った?」