名前の無い物語

「えっ?」柚歌は言葉が詰まった



「あの時俺達は、いきなりデュアンテに襲われて、柚月の世界に飛ばされて、何も分からないまま、世界を救えって言われた。

あの時何て思って、柚歌は今まで旅を続けてきたんだよ?」


吉野の問いに
柚歌は答えられなかった


「俺は最初信じられなかった。意味わかんねぇし、何で戦えるのかも分からない。
でも、柚月がさ、何も考えずに必死に生徒を護ろうとしてただろ?だから俺は、考えるのは止めようと思った。
今起こってる事の理由を探すより、行動する方が早いと思った。」


だから俺は旅を始めた
何も分からないで立ち止まっているより
とりあえず歩いてみようって思ったんだ


「柚歌は、世界を背負う資格はないって言ったけど…あの時の柚歌はそんな事考えてなかったろ?」



あの時

俺達が旅を始めるきっかけになった、あの世界



「只、苦しんでる人を助けたい…そう思ったからじゃねぇのか?」


壁にぶつかりながらも
必死に答えを出して、生きようとする人達


只、そんな人達の助けになりたくて



「巻き込まれたとか、そんなの空さんが思ってる筈ねぇよ。空さんも、只助けたかったから…世界に未来を与えたんだ。

なのに柚歌は、過去に囚われたまま、いつまで立ち止まっているつもりだよ!!




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