名前の無い物語
視界を包んだ光
光が消えた瞬間、抱き合っている吉野と柚歌の姿があった
「吉野…柚歌!!」
海の声に
二人は離れて辺りを見渡す
「ここ、駿河の…。」
「…戻って、来たのか?」
俺達…闇から抜け出せた?
「良かった…二人とも無事だったんだな。」
「あぁ。心配かけてごめん、海。」
海と寧々音がいるってことは、ここは間違いなくさっきの部屋
俺達は戻ってこれたんだ!
吉野と柚歌は顔を見合わせた
「柚歌ちゃん。」
「寧々音…。」心配そうに柚歌を見つめる寧々音
そんな姿を見て、柚歌は「ごめん。」と謝った
「心配かけてごめん…。でも、もう大丈夫だから。」
そう言った柚歌の顔は
どこかスッキリしているように見えた
…吉野君が選ばれし者で良かった
誰にも救えなかった柚歌ちゃんの心が…やっと救われたんだから
「…どういう事だ?」