名前の無い物語
声の発信源に
四人は視線を戻す
そこには、半分以上デュアンテに飲み込まれた駿河の姿があった
「柚歌…貴様…何故…。」
「…もう終わりだ、駿河。」
狂った目を向ける駿河に
柚歌は真っ直ぐ立ちはだかる
「私は闇になんか堕ちない。もう迷わない…だって。」
顔を上げて
まるで誰かに告げるように
「空は、こんなこと望んでなんかいないから。」
罪を背負うのも、自分を責め続けることも
きっと空は何一つ望んでないから…
そうでしょ、空?
「っ…貴様!」
迷いのない、真っ直ぐした視線
闇1つ映さない光の瞳…!
怒りに狂った駿河を、デュアンテが一気に飲み込む
瞬間、部屋中に闇が充満していった
「っ…!」
「クソ、完全に取り込まれやがった…!」
威圧感に、咄嗟に吉野達は一歩下がる
恐らく、強さはさっきとは桁違いだろう
「大丈夫、みんな。」
充満する闇の気のなかで
「もう迷わないから。」