名前の無い物語
何で忘れているのか
彼は今…どこにいるのか
何も分からない
けど…大切な存在だって事は嫌でも覚えてる
「ソイツ…今何してんだよ?元気にしてんのか?」
彰の言葉に、柚歌は振り返って
空を見上げた
「…いるよ、あの空に。」
空はずっと側にいてくれた
この世界こそが…空そのものだったのに…
「…気付かなくてごめんね、空。」
だけど、全部終わったよ
空が止めてくれたあの人も
空が救ってくれたこの世界も
全部…
柚歌は一度息を大きく吸う
すると、街全体に響くように歌い始めた
二年前
空と共に世界を救った、この曲
『大空への讃歌』
それは、世界全体に響いていった