名前の無い物語
いやでも分かった気がした
この学校での…吉野の立場
「あー…1つだけ、言えるなら。」
後藤彩夏は言葉を詰まらせながら
海と柚歌を見つめた
「半年前、滝川君の住むアパートの大家さんが亡くなったんです。その時だけは、滝川君学校を休んでた。」
「大家さん…?」
吉野って一人暮らしなのか
なら、家族はどこに?
「その人は滝川君の親みたいなものだって前に先生が言ってたから…。」
「…そっか、ありがとう。」
海と柚歌は彼等にお礼を言って
校門から歩き始める
…吉野の親代わり、か
その人が生きてたら良かったんだけどな…
「…ねぇ、何か変じゃない?」