名前の無い物語
「俺の番…?」
少女はニッコリ笑った
一瞬、その笑顔に吉野は恐怖を覚える
「もし彼女達に危機が迫った時…君はどうする?」
「危機?」
瞬間浮かぶ、後藤彩夏達の顔
そして、教室での自分への対応
「…知らねぇよ、そんなの。」
そう、今までだってそうだった
俺が困っても、俺自身で解決したし
向こうが悩んでても、何も干渉しなかった
それが今までの関係の筈だし
これからも…変わりはない
「アイツ等が危機に晒されたって、アイツ等のせいじゃねぇか。俺には関係ない!」
吉野はそう叫んで
逃げるように墓地から走り去った