名前の無い物語
「「「!!」」」三人は同時に視線を移した
目の前にある…崖の上
そこに立って吉野達を見下す、二人の人物
一人は、白衣に白い髭を生やした老人
そしてもう一人は…仮面をつけた少年
「!お前…!」
仮面の少年を見て、吉野は一瞬目を疑った
祐希達の世界でいきなり襲ってきた仮面の少年
何でアイツがここに…?
「久しぶりじゃなぁ、吉野。」
老人が発した言葉を、吉野はすぐに理解出来なかった
「…久しぶり?」
そう、確かに
今老人はそう言った
「吉野、知ってるの?」
「…いや。」
知らない、そう言おうと思ったのに
何故か言葉は出なかった
「まだ思い出せぬか…予想以上に後遺症はあるようじゃの。
いや、それとも残りの心がそうさせているのか。」