名前の無い物語

何も言う暇も無く
気がつけば柚歌も壁に叩きつけられていた

「ぅ…。」背中に感じる痛み以外は、何が起こったか分からない

それくらい、少年の攻撃は速いものだった


「手間かけさせやがって。」

「回収しろ、黒蘭。」


老人の命令に、少年ーー黒蘭はゆっくりと歩き始める
その先には…柚歌と離れて地面に倒れている、吉野


「っ…吉野…!」

このままでは
吉野は…彼等に奪われてしまう!

動け、と柚歌は自身の体に力を込めるが
どれだけ力を入れても体はピクリとも動かなかった


お願い、目覚めて…吉野!


柚歌が強く望んだ瞬間
黒蘭と吉野との間に爆発が起きた




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