名前の無い物語
+繋がるパズルのピース
いつも通り目を開けば
視界に入るのは澄んだ青空
だけど、いつもとは違う全身を襲う痛みに
海はゆっくり起き上がった
…助かった、のか?
何が起こったのか
少しずつ海は記憶を辿る
殺られるーーそう確信したあの時
俺達を助けてくれたのは…
「ぅ…。」呻き声に振り返ると、気が付いたのかゆっくりと起き上がる柚歌と空の姿があった
「気が付いたのか、柚歌…。」
外傷はあるが、思ったほど酷くはない
海は安堵の息を吐いた
海の視線はその柚歌のすぐ近くで倒れている吉野に向かう
「吉野は…?」
「アイツに襲われる前に、私の能力で眠らせたわ。」
柚歌も吉野に視線を送る
時折苦しそうに、どこか悲しそうに眠る吉野
彼に一体何が起こったのか…二人には全く分からなかった
柚歌は一度視線を下に向けると
すぐに自分の後ろに振り返る
三人と少し離れた所に
上体を起こして…コチラに視線を向けている一人の少年
「…空?」