名前の無い物語
葵の言葉に
三人は言葉が出なかった
本当の自分を
今…取り戻している?
そう悟った瞬間、海の中で嫌な考えが過る
もし、寧々音の言う通り吉野が本当の自分を受け入れられなかったら
その時…アイツは…?
「その事で、あなた達には選択して欲しいの。
…私は、吉野君の過去を全て読み取った。」
「「「!!」」」葵のその発言に
三人は表情を変えた
「初めて吉野君を見た時…私の中に流れ込んできた。たぶん、私の能力のせいだと思う。」
葵の能力、千里眼
総てを見通す驚異的な力
この能力なら…他人の心はおろか過去を視る事など容易い
海はすぐに納得した
「みんなが考えてる通り…本当の自分ん取り戻したとき、吉野君がそれを受け入れられるかは分からない。
あなた達が吉野君を支えられるか…それが鍵になると思う。
それを前提に選択して欲しい。あなた達は…吉野君の過去を知りたい?」