名前の無い物語

少し笑いながら
陽斗は吉野に聞いた

「いいじゃねぇかよ別に。陽斗と伊織の夢が叶ったんだからさ。」



昔した、遠い日の約束

その日も、特訓に明け暮れていて
いつの間にかこんな風に星が輝いていた

そんな中で、吉野はスランプに陥り、自身の実力の無さに落ち込んでいた


ーーあんましょげんなよ吉野ーー

ーーそうよ。前より断然上手くなってるじゃないーー

隣に座って
慰めてくれる伊織と陽斗

だけど、この時は年下扱いされるのがスゴい嫌で
悔しくて吉野は膝上に置いていた剣をギュッと握った

ーーやっぱり無理だよ俺には…。マスターになんて、なれる筈無いーー

ーーそんなこと無いってーー

ーー上達してんだからさーー

二人の言葉にも、吉野は首を横に振った

こんなんじゃ、世界になんて出れる筈無い
例え出れたとしても…自分には何も救えない
何で、こんな事をしなければならないのか
吉野には最早それすら分からなかった


ーー…俺の夢は、誰よりも強いマスターになって、闇に苦しむ世界を救うことー






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